学術論文、仕事のメール、友だちへのメッセージ。同じ英語でも、1本のものさしの上でまったく違う位置にあります。
このレッスンで学ぶこと
これまでのレッスンで学んだフォーマル/くだけた表現の選択(語彙、短縮形、受動態、談話標識)は、どれも同じ考え方につながっています。レジスターは連続したものさしだということです。どんな文章も、非常にフォーマルなもの(法律文書)から非常にくだけたもの(親しい友だちへのメッセージ)までの間のどこかにあり、ふだん書くものの多くはその中間にあります。
日本語を話す人にとって、この感覚はおなじみのはずです。敬語、です・ます形と普通形、書き言葉と話し言葉を、日本語では毎日使い分けていますね。大きな違いは、日本語では動詞の形や敬語で改まり度がはっきり決まるのに対し、英語の二人称は “you” だけで、丁寧な動詞の形もないことです。英語の改まり度は、語彙、文の組み立て、短縮形を使うかどうか、そして決まった表現によって作られます。
ふさわしいレジスターは最初から決まっているのではなく、だれに向けて書くのか、何を伝えたいのかで選びます。学術論文(専門家が読み手で、正確で客観的に伝えるのが目的)と友だちへのメッセージ(親しい相手に、さっと気軽に伝えるのが目的)では、同じ内容でもまったく違う文体になります。
フォーマルな文章では、名詞化(動詞を名詞にすること:decide → decision、analyze → analysis)、客観的な響きを出すための受動態、短縮しない完全な形がよく使われます。どれもこれまでのレッスンで学んだもので、ものさしのフォーマル側に文章を引き寄せます。
ここでは日本語の感覚が役立ちます。日本語でも「決める」より「決定する」、「調べる」より「分析する」のような漢語のほうがかたい印象になりますね。英語でも、ラテン語系の長い語(require、obtain、indicate、significant、subsequently)は、日本語の漢語のように改まった響きがあります。また、日本語の論文でよく使う「〜と考えられる」「〜とされている」は、英語の “It is thought that…”、“It should be noted that…” のような受動の言い方に近いものです。ニュースや公式発表でも “It is reported that…” のような非人称の受動態がよく使われます。ただし、「データの分析の実施」のように名詞を重ねた日本語をそのまま訳すと、英語ではとても重くなります。“The data were analyzed.” のような短い受動文でも、十分フォーマルで、ずっと読みやすくなります。
くだけた文体では、短縮形、会話の流れを作る談話標識(well、anyway、you know)、そして文脈からわかる語を省く省略がよく使われます。これらもこれまでに学んだもので、文章をものさしのくだけた側に引き寄せます。
逆に、くだけたメッセージでかたい語を使うと、堅苦しく聞こえます。教科書的な英語に慣れていると、友だちにも “I would like to inform you that…” と書いてしまいがちですが、ネイティブスピーカーなら “I need to find out when it starts” と書き、“I need to obtain information regarding when it commences” とは書きません。日常のやりとりでは、短い語や句動詞(find out、get、start、show up)を使いましょう。
ものさしの両端にある文章はごく一部です。仕事や日常のやりとりの多くは中間にあり、両方の特徴が混ざっています。
文章の途中でフォーマルからくだけた文体に変わると、まとまりがなくなり、プロらしくない印象になります。かしこまった応募書類の最後が「じゃあね、よろしく〜!」で終わるようなものです。
「よろしくお願いします」は直訳できない決まり文句です。メールの結びには “Kind regards” や “Best regards” を使い、お願いがあるなら “Thank you in advance.” などを本文に入れます。
wanna や gonna は歌やSNSでよく目にしますが、とてもくだけた話し言葉です。応募書類のようなフォーマルな文章では、would like to や will を使います。
require、regarding、commencement は正しい英語ですが、友だちへのメッセージでは公文書のように聞こえます。くだけた場面では、ふだんの語とシンプルな質問を使いましょう。
日本語では、です・ます形や敬語(「お送りいただけますか」)によって、文法的に丁寧さが決まります
英語には敬語も丁寧な動詞の形もなく、上司にも親友にも “you” を使います。改まり度は別の手段で作ります:“Can you…?” より “Could you possibly…?”、“need” より “require”、“lmk” より “Please let me know”、短縮形より完全な形、そして決まった書き出しや結びの表現です。please をつけるだけの “Please send me the file.” は、場面によってはぶっきらぼうな命令に聞こえることもあります。
日本語では、漢語(決定する、分析する、実施する)は書き言葉的でかたく、和語(決める、調べる、やる)は日常的です
英語にもよく似た対立があります。ラテン語系の語や名詞化した形(decision、analysis、require、obtain)はフォーマルで、短い語や句動詞(decide、find out、need、get)は日常的です。論文やビジネス文書では前者、友だちへのメッセージでは後者を選びましょう。ただし、漢語の名詞を重ねた日本語を直訳すると重い英語になるので、フォーマルな文章でも1文は短めにします。
日本語のビジネスメールには「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」のような決まった表現があります
決まった表現は直訳せず、英語の決まった表現に置き換えます。「お世話になっております」は直訳せず、“I hope you're well.” などで始めるか、すぐ本題に入ります。「よろしくお願いいたします」は、内容に応じて “Thank you in advance.” や “I look forward to hearing from you.” とし、結びは “Kind regards” や “Best regards” が最もよく使われます。とてもフォーマルな手紙では “Yours sincerely”(イギリス英語)や “Sincerely”(アメリカ英語)です。“Dear” は親しみを表すわけではなく、知らない相手にも使うふつうの書き出しです。
💡 英語には敬語がありません。改まり度は語彙、完全な形、Could you…? のような組み立て、決まった表現で作ります。
💡 「よろしくお願いします」は直訳せず、“Kind regards” / “Best regards” や “Thank you in advance.” に置き換えましょう。
💡 漢語のようなかたい語(require、obtain)は報告書向き。友だちには短い語や句動詞(need、get、find out)を。
💡 1つの文章の中ではレジスターをそろえましょう。wanna や lol はフォーマルな文章には入れません。
"The quarterly results indicate a 12% increase in revenue, attributable primarily to expanded market share." (報告書)
"Hi team — quick update: revenue is up 12% this quarter, mostly thanks to our growing market share. Great work!" (メール)
"Yo, numbers are looking great this quarter lol" (チャット)
練習問題 1 · 正しい説明を選びましょう
Register is best described as...
練習問題 2 · いちばん大切な要素を選びましょう
The main factor that should determine register is...
練習問題 3 · いちばんフォーマル・学術的な文を選びましょう
Which text is written in the most academic/formal register?
練習問題 4 · 正しい説明を選びましょう
Nominalization (turning a verb into a noun, e.g. 'decide' → 'decision') is a marker typically found in...
練習問題 5 · くだけた文体の特徴を選びましょう
Which combination of features signals an INFORMAL, conversational register?
練習問題 6 · 正しい理由を選びましょう
Why is register consistency important within a single text?
練習問題 7 · 正しい説明を選びましょう
A university research paper and a text message to a friend differ mainly in...
練習問題 8 · 合うレジスターを選びましょう
'It is reported that the policy will be reviewed.' This impersonal, passive-reporting style is typical of...
練習問題 9 · レジスターを答えましょう
Identify the register: 'Gonna grab coffee, wanna come?' — is this FORMAL or INFORMAL?
練習問題 10 · レジスターを答えましょう
Identify the register: 'The committee's decision will be announced in due course.' — is this FORMAL or INFORMAL?
練習問題 11 · グループに分けましょう
0 / 6 分類済み
練習問題 12 · よくある間違い:「よろしくお願いします」の直訳
Japanese: "よろしくお願いいたします。" (at the end of a business email). Which English closing fits a professional register?
5つのクイズで、学んだことを確認しましょう。
問題 1 / 5
スコア:0/0
Register should be thought of as...
標準英語と非標準英語(Standard vs Non-standard English)
ain't、they was、I seen、them books は、でたらめな誤りではなく実在する方言の規則的な形です。試験や改まった文章で標準英語が求められる理由も確認します。
ていねいさと言い方のやわらげ(Politeness and Softening)
Could you…?、I was wondering if…、I'm afraid…。「〜していただけますか」「あいにく」のように、英語でもお願いや悪い知らせを角を立てずに伝えます。
フォーマルな英語とカジュアルな英語
英語には敬語がありません。purchase と buy、Dear Sir or Madam と Hey のように、単語・短縮形・決まり文句で丁寧さの度合い(レジスター)を表します。
ヘッダーとテール(Headers and Tails)
That woman, she's my teacher. He's nice, that guy. 話し言葉で話題を先に出したり後から補ったりする形を、日本語の「〜は」や倒置と比べて学びます。