ヘッダーとテール(Headers and Tails)

C1 · 上級話し言葉の英文法

That woman over there, she's my teacher. He's really nice, that guy. 話題を最初に示すか、後から付け足して明確にするか。会話でよく使う2つの形です。

このレッスンで学ぶこと

  • ヘッダー(header)は名詞句を文の最初に置き、続く文で代名詞を使って受け直す:That woman, she's my teacher
  • テール(tail)は代名詞を使った文の後ろ、文の最後に名詞句を置く:He's really nice, that guy
  • ヘッダーは、話を進める前に聞き手に話題を示す。長く複雑な名詞句のときに特に便利
  • テールは、代名詞がだれ・何を指していたかを後から補ったり確認したりする
  • 受け直す代名詞は省略できない。人には he / she、物には it
  • どちらも話し言葉の形で、改まった書き言葉では使わない。使わなくても意味は同じ

話題を先に出すか、後から補うか

実際の会話では、文全体を前もって組み立ててから話すことはほとんどありません。ヘッダーとテールは、そのための左右対称の工夫です。ヘッダーはまず話題を名詞で示し、それを代名詞で受け直します。テールはまず代名詞で話し始め、最後に「だれ・何のことか」をはっきりさせます。

うれしいことに、これは日本語の話し言葉にとても近い形です。「この歌、大好き」「あの人、先生なんだ」のように話題を先に出すのはヘッダーに、「いい人だよね、あの人」「すごいね、お姉さん」のような倒置はテールにそっくりです。ただし大きな違いが1つあります。日本語では「それ」「彼女」を言わなくても文になりますが、英語では話題を受け直す代名詞が必要です。

"That woman over there, she's my teacher.(ヘッダー)"
"She's my teacher, that woman over there.(テール)"

ヘッダー(左方転位)

ヘッダー(header。文法用語では left dislocation=左方転位)は、話題(長く複雑な名詞句であることが多い)を主節の前で示し、主節の中で代名詞を使ってそれを受け直します。こうすると、聞き手は続きを聞く前に何の話かがわかります。日本語の「〜は」「〜って」で話題を出す感覚に近いものです。

ポイントは代名詞です。日本語では「あの人、先生なんだ」「私の兄、ベルリンに住んでるんだ」と主語を言わずに済みますが、英語のヘッダーでは主節に代名詞が必要です:“That woman over there, she's my teacher.”、“My brother, he lives in Berlin.”。he を省いて “My brother, lives in Berlin.” とはしません。代名詞を入れないなら、コンマも取ってふつうの文(My brother lives in Berlin.)にしましょう。

目的語の場合も、ヘッダーでは代名詞で受け直します:「この歌、本当に大好き」→ “This song, I really love it.”。なお、代名詞なしで目的語を前に出す “This song I really love.” という言い方もありますが、これは強調のための別の形で、ヘッダーではありません。

"That woman over there, she's my teacher."
"My brother, he lives in Berlin."
"This song, I really love it."

テール(右方転位)

テール(tail。文法用語では right dislocation=右方転位)は逆の順番です。まず代名詞で話し始め、最後に名詞句を付け足して、だれ・何の話だったかを補ったり確認したりします。話している途中で「説明が足りないな」と気づいたときによく使われます。

日本語の倒置「すごいね、あなたのお姉さん」がそのまま参考になります。ただし英語では、文の最初にも主語の代名詞が必要です:“She's brilliant, your sister.”(“Is brilliant, your sister.” は誤り)。人には he / she を使い、空いた主語を it で埋めないようにしましょう:“He's a great cook, my dad.”(“It's a great cook, my dad” は誤り)。物なら it で大丈夫です:“It's a great movie, that one we watched.”

"He's really nice, that guy."
"She's brilliant, your sister."
"It's a great movie, that one we watched."

注意

✗My colleague, she finished the report early.(改まった報告書の中で)
✓My colleague finished the report early.

ヘッダーやテールは会話では自然ですが、改まった文章ではくだけすぎて不自然です。日本語でも報告書に「同僚、報告書を早く仕上げたんですよ」とは書きませんね。主語をそのまま書きましょう。

✗That woman over there, is my teacher.(ヘッダーを受け直す代名詞がない)
✓That woman over there, she's my teacher.

日本語の「あの人、先生なんだ」は主語がなくても文になりますが、英語のヘッダーには受け直す代名詞が必要です。代名詞を使わないなら、コンマを取ってふつうの文にします:That woman over there is my teacher.

✗Is brilliant, your sister.
✓She's brilliant, your sister.

「すごいね、お姉さん」の倒置をそのまま訳すと主語が抜けます。テールでも、文の最初に主語の代名詞が必要です。

✗It's a great cook, my dad.
✓He's a great cook, my dad.

人について説明するときは he / she で受けます。it を人に使うのは、“Who's that?” — “It's my dad.” のように、だれなのかを特定するときなどに限られます。

日本語と比べてみよう

日本語の話し言葉では、「この歌、大好き」のように話題を先に出したり、「いい人だよね、あの人」のように倒置したりするのはごく自然です

ヘッダーとテールは、まさにこの感覚です。くだけた会話で使い、改まった文章では使わないという点も日本語と同じです。ただ、英語では日本語ほど頻繁には使いません。1回の会話に1、2回なら自然ですが、毎文使うと不自然に聞こえます。

日本語では主語や目的語を省略できます:「この歌、本当に大好き」「あの人、先生なんだ」「すごいね、お姉さん」

英語のヘッダー・テールでは、名詞句を主節の中で代名詞を使って受け直します:“That woman over there, she's my teacher.”、“She's brilliant, your sister.”、“This song, I really love it.”。特に主語の代名詞は省けません(“That woman over there, is my teacher.” や “Is brilliant, your sister.” は誤り)。代名詞は実際のものに合わせ、人なら he / she、物なら it です。人を it で受けて “It's a great cook, my dad” とはしません。

💡 「あの人、先生なんだ」→ That woman, she's my teacher。ヘッダーを受け直す代名詞を省略しません。

💡 「いい人だよね、あの人」→ He's really nice, that guy。テールでも最初に主語の代名詞を。

💡 人には he / she、物には it。

💡 ヘッダーとテールは会話用。改まった文章では使いません。

実際の場面:くだけた会話でだれかの話をする

"So who was that at the door?"

"Oh, that guy from downstairs, he was just returning my package."

"He seems nice."

"Yeah, he's always really helpful, that guy."

練習

練習問題 1 · 形の名前を選びましょう

'That woman over there, she's my teacher.' The noun phrase at the start, repeated by 'she,' is called...

練習問題 2 · 形の名前を選びましょう

'He's really nice, that guy.' The noun phrase at the END, repeating 'he,' is called...

練習問題 3 · 働きを選びましょう

Headers (left dislocation) typically function to...

練習問題 4 · 働きを選びましょう

Tails (right dislocation) typically function to...

練習問題 5 · 形の名前を選びましょう

'My brother, he lives in Berlin.' Which pattern is this?

練習問題 6 · 形の名前を選びましょう

'She's brilliant, your sister.' Which pattern is this?

練習問題 7 · 正しい説明を選びましょう

Headers and tails are typically...

練習問題 8 · 受け直す代名詞を選びましょう

'This song, I really love it.' The header 'This song' is repeated in the main clause by...

練習問題 9 · ヘッダーを使って書き換えましょう

Rewrite using a header (left dislocation): 'My neighbor is really loud.' (start with 'My neighbor,')

練習問題 10 · テールを使って書き換えましょう

Rewrite using a tail (right dislocation): 'He's a great cook.' (end with the noun phrase 'my dad')

練習問題 11 · グループに分けましょう

That woman, she's my teacher.
She's my teacher, that woman.
My brother, he lives in Berlin.
He lives in Berlin, my brother.
This song, I love it.
I love it, this song.
Your sister, she's brilliant.
She's brilliant, your sister.

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練習問題 12 · よくある間違い:受け直す代名詞を省く

Japanese: "あそこにいる女の人、私の先生なんです。" — Japanese needs no subject pronoun here. Which English sentence with a header is correct?

クイックチャレンジ

5つの短い問題で、学んだことを確認しましょう。

問題 1 / 5

スコア:0/0

'The guy who lives upstairs, he's really friendly.' This is an example of...

学んだこと

  • ヘッダーは名詞句を文の最初に置き、文の中で代名詞を使って受け直します。
  • テールは名詞句を文の最後に置き、先に使った代名詞がだれ・何かを補います。
  • ヘッダーは話題の提示、テールは後からの補足。日本語の「〜は」や倒置に近い働きです。
  • 受け直す代名詞は省略できません。人には he / she、物には it を使います。
  • どちらも話し言葉の形で、改まった書き言葉ではまず使いません。英語では日本語ほど頻繁には使いません。
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