二重否定(Double Negatives)

B1 · 中級否定文

“I don't have no money” ではなく “I don't have any money.”。否定の動詞のあとには、もう1つの否定語ではなく any のつく語を使います。

このレッスンで学ぶこと

  • 標準英語では、1つの節の中で否定の動詞(don't、can't、isn't、haven't など)と否定語(no、nobody、nothing、nowhere、never)を一緒に使わない理由
  • 正しい2つの言い方(否定の動詞+any のつく語 / 否定語+肯定の動詞)と、どちらがより自然か
  • 「何も〜ない」「誰も〜ない」「どこにも〜ない」の訳し方:否定は1つ、残りは any のつく語
  • hardly、scarcely、barely(ほとんど〜ない)には not/don't をつけない理由
  • 二重否定はくだけた話し言葉や一部の方言には存在するが、標準英語では避けること

否定は1つの節に1回だけ

標準英語では、1つの節に否定語は1つだけです。否定の動詞(don't、can't、isn't など)には、それだけで否定の意味を持つ語ではなく、any のつく語(any、anybody、anything、anywhere、ever)を組み合わせます。

実は、日本語もよく似た仕組みです。「何も見なかった」の否定は、動詞の「なかった」の1か所だけで、「何も」自体は否定語ではありません。英語の “I didn't see anything.” も、否定は didn't だけで、anything は「何も」にあたります。つまり、「何も」「誰も」「どこにも」は any のつく語、「ない」は not だと考えればぴったりです。

落とし穴は、学校で「nothing = 何も〜ない」と覚えることです。nothing は「何も」と「ない」の両方を1語で表しているので、さらに don't をつけると否定が2回になります。「何も欲しくない」は “I don't want nothing” ではなく、“I don't want anything” か “I want nothing” です。

二重否定は、いくつかの方言やくだけた話し言葉には実際にあります(歌や映画で耳にするでしょう)。でも標準英語、つまり文章・試験・仕事では、誤りとされます。

例外として、2つの否定がわざと打ち消し合う言い方は英語でも正しいです(“It's not unimportant”)。日本語の「大事じゃなくはない」「〜しないわけではない」に似ていますね。このレッスンで扱うのは、もう1つのケース、つまり2つの否定語で1つの「ない」を表してしまう間違いです。

"I don't have any money."
"I don't have no money. (標準英語ではありません)"

正しい2つの言い方。両方を混ぜない

同じことを言う正しい方法は2つあります。否定の動詞+any のつく語(“She didn't say anything.”)か、否定語+肯定の動詞(“She said nothing.”)です。この2つを混ぜると二重否定になります。don't、can't、didn't、haven't と書いたら、「何も」は anything、「誰も」は anybody/anyone、「どこにも」は anywhere になる、と覚えましょう。

日常会話では、not+any のつく語のほうが自然なことが多いです。特に can のような助動詞のあとや、長い文ではそうです。“We can find it nowhere.” は正しいですが、硬くて不自然に聞こえます。ふつうは “We can't find it anywhere.” と言います。

「決して」「一度も」の never も、それだけで否定語です。never を使ったら、ほかの部分は any のつく語にします:「誰にも一度も言わなかった」→ “We never told anybody”。“We never told nobody” は誤りです。また、never に don't をつけることもしません:“He never goes anywhere”。“He doesn't never go” は誤りです。

「誰も電話してこなかった」のように、否定語が主語になるときは、否定語だけを使い、動詞は肯定にします:“Nobody called.” “Nobody didn't call” は二重否定です。また、日本人学習者によくある “Anybody didn't call.” も誤りです。any のつく語は、ふつう否定の動詞より前(主語の位置)には置けません。主語なら nobody / no one を使います。

"She didn't say anything. / She said nothing."
"We can't find it anywhere. / We can find it nowhere. (硬い言い方)"

hardly、scarcely、barely

hardly、scarcely、barely は「ほとんど〜ない」「かろうじて」という意味です。それ自体がほぼ否定の意味を持っているので、動詞は肯定のままにします:「彼のことはほとんど知らない」→ “I hardly know him.”

日本語の「ほとんど〜ない」は、「ほとんど」と「ない」の2語でできているので、両方を訳して “I don't hardly know him” としがちです。でも hardly だけで「ほとんど〜ない」です。同じように、「彼女にはあなたの声がほとんど聞こえない」は “She can hardly hear you” で、“She can't hardly hear you” ではありません(英語では hear に can をつけることが多い点にも注意しましょう)。

hardly や barely のあとも、not のあとと同じように any のつく語を使います:「彼女はほとんど何も食べない」→ “She barely eats anything.” なお、hardly は「一生懸命に」という意味ではありません。「一生懸命働く」は work hard です。

"I hardly know him."
"She can hardly hear you."

実際の英語

"I didn't see anyone."
"He can't do anything about it."
"She barely eats anything."
"We never told anybody."

注意

✗I don't have no money.
✓I don't have any money. / I have no money.

don't も no も否定です。「お金がない」は、don't+any か、肯定の動詞+no のどちらかで言います。

✗I don't want nothing.
✓I don't want anything.

「何も欲しくない」の「何も」を nothing、「ない」を don't と両方訳した形です。nothing だけで「何も〜ない」なので、“I don't want anything” か “I want nothing” にします。

✗I didn't see nobody.
✓I didn't see anybody.

「誰も見なかった」:didn't のあとでは、「誰も」は anybody か anyone です。“I saw nobody” とも言えます。

✗I can't find it nowhere.
✓I can't find it anywhere.

「どこにも見つからない」:否定はすでに can't にあるので、「どこにも」は anywhere です。

✗We never told nobody.
✓We never told anybody.

「誰にも一度も言わなかった」:英語では否定語は never の1つだけにして、「誰にも」は anybody にします。

✗Anybody didn't call.
✓Nobody called.

「誰も電話してこなかった」を語順どおりに訳した形です。主語には nobody を使い、動詞は肯定にします。

✗She can't hardly hear you.
✓She can hardly hear you.

hardly だけで「ほとんど〜ない」という意味です。日本語の「ない」の分まで can't にする必要はありません。

日本語と比べてみよう

日本語の「何も」「誰も」「どこにも」は、それだけでは否定になりません。否定は動詞の「〜ない」の1か所だけです

これは英語の not+any のつく語と同じ仕組みです。「何も言わなかった」→ “She didn't say anything”、「ここには誰も知り合いがいない」→ “We don't know anybody here”。「何も」を nothing、「誰も」を nobody と訳すと、否定の動詞と合わせて否定が2回になってしまいます:“She didn't say nothing”、“We don't know nobody here” は誤りです。

学校英語では「nothing = 何も〜ない」「nobody = 誰も〜ない」「never = 決して〜ない」とセットで覚えます

この訳には、すでに「〜ない」が入っています。つまり nothing、nobody、nowhere、never を使ったら、動詞は肯定のままです:“I saw nothing.”、“He never goes anywhere on weekends.” 動詞を否定にしたいなら、これらを any のつく語に置きかえます:“I didn't see anything”、“He doesn't ever go anywhere”。“He doesn't never go” は誤りです。

「誰も来なかった」「誰も電話してこなかった」:日本語では「誰も」が主語でも、否定は動詞につきます

英語では、主語の位置に any のつく語+否定の動詞は置けません。“Anybody didn't come” や “Nobody didn't call” ではなく、否定語を主語にして動詞は肯定にします:“Nobody came.”、“Nobody called.” 複数の否定語が続く日本語の文も、英語では最初の1つだけを否定にし、残りは any のつく語にします:“I never said anything to anybody.”(誰にも一度も何も言わなかった)。

💡 「何も〜ない」= not… anything、「誰も〜ない」= not… anybody、「どこにも〜ない」= not… anywhere。

💡 nothing、nobody、nowhere、never はそれだけで「〜ない」を含みます。動詞は肯定のままにしましょう。

💡 主語が「誰も」なら Nobody+肯定の動詞:Nobody called.

💡 hardly、barely、scarcely =「ほとんど〜ない」。not はつけません。

実際の場面:なくし物を探す

"Have you found your keys?"

"No, I still can't find them anywhere."

"Did anyone check under the couch?"

"I looked — there was nothing there."

練習

練習問題 1 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 2 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 3 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 4 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 5 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 6 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 7 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence.

練習問題 8 · 標準英語の文を選びましょう

Choose the standard English sentence — 'hardly' is already near-negative.

練習問題 9 · 二重否定を直しましょう

Fix the double negative: 'I don't want nothing.'

練習問題 10 · 二重否定を直しましょう

Fix the double negative: 'She can't hardly hear you.'

練習問題 11 · グループに分けましょう

I don't have any time.
I don't have no time.
She doesn't know anything.
She doesn't know nothing.
We can't find it anywhere.
We can't find it nowhere.

0 / 6 分類済み

練習問題 12 · よくある間違い:「何も」「誰にも」を否定語で訳す

Japanese: "私は誰にも何も言いませんでした。" Which translation is correct standard English?

クイックチャレンジ

5つのクイズで、学んだことを確認しましょう。

問題 1 / 5

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Choose the standard English sentence.

学んだこと

  • 標準英語では、1つの節に否定は1回だけです。日本語の「〜ない」が1か所なのと同じです。
  • 否定の動詞には、否定語ではなく any のつく語(anybody、anything、anywhere)を組み合わせます。
  • 「何も〜ない」は I don't want anything / I want nothing。“I don't want nothing” は誤りです。
  • 否定語が主語のときは動詞を肯定に:Nobody called(“Anybody didn't call” は誤り)。
  • hardly、scarcely、barely(ほとんど〜ない)はそれだけで否定に近いので、not はつけません。
  • 二重否定はくだけた話し言葉や一部の方言にはありますが、標準英語では避けます。
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